無断転載で損害賠償請求はできる?著作権と著作者人格権について解説

知っているようで知らない「著作権」

TwitterやInstagramをはじめとしたSNSには、連日さまざまな画像が投稿されていますが、他人が撮影した写真漫画・アニメなどの画像を無断で使用した場合には、著作権侵害にあたり犯罪となる可能性があります。

スマートフォンの普及で画像や動画の保存が安易になり、悪気がなく投稿してしまったり著作権侵害だと知らなかったりするケースもありますが、著作権侵害は立派な犯罪です。

インターネット上で画像を使用する場合には、著作権について十分把握したうえでルールに基づいて使用しなければなりません。

また、画像やコンテンツを公開するクリエイターは著作権を侵害されるリスクが高いため、対処法などについて知っておく必要があります。

今回は、実例をもとに、写真の無断使用により著作権侵害について解説していきます。

著作権とは?著作権侵害となるケース

創作活動によって作り出された創作物には、オリジナリティや評価を保護するために著作権という法律が用意されています。

カメラマンが撮影した写真やイラストレーターが描いたイラスト、コラムニストが書いた文章やバンドマンが作った音楽など、さまざまなジャンルにおいて著作権は認められています。

上記のように、著作物を創作した人のことを「著作者」と呼び、著作者によって創作された文化的な創作物を守るために著作権が存在するのです。

一般的には、小説家・画家・作曲家などの創作活動を職業とする人だけが著作者になると考えられがちですが、創作活動を職業としなくても、小説を書いたり絵を描いたりすれば、それらを創作した者が著作者となります。

著作権と著作者人格権

著作権侵害とは、創作活動によって作り出された著作物に対する権利を侵害される行為のことを指します。

例えば、Twitterに好きな漫画の一部を投稿したり、Instagramに創作者の許可なしでイラストを掲載したり、創作物を無断で利用するような行為は著作権侵害となります。

また、創作者の名誉や作品への思い入れを守り、創作者本人の人格を保護する権利である「著作者人格権」も存在します。

著作者人格権は著作権よりも感情的な部分についての権利であり、作品の財産的な価値についての権利である「著作権」とは別の権利です。

著作者人格権の具体的な内容は、著作権法第18条から第20条及び第113条6項に定められており、著作物を公表するかどうかといった「公表権」や、氏名を表示するかどうかといった「氏名表示権」などの権利があります。

例えば、著作者の了解なしに著作物を公表するような行為は著作者人格権の侵害に該当するので注意が必要です。

著作権侵害の落とし穴

著作権侵害において誤解されがちなのが、「無断で掲載しているけれども、リンクを掲載していればOK」というパターンです。

ネット上では、「出典~」「参考~」「引用~」などといった表記と共に、出典先とリンクしているサイトが見受けられますが、基本的にリンクを表示しているとしても無断使用であれば著作権侵害にあたります。

著作権法第32条の「引用」など、例外的に掲載する方法は存在しますが、適切な利用であることが条件です。

適切な利用とは、どうしてもその画像を使わねばならないような場合であって、単純に「素敵だから使いたかった」「いいなと思ったから転載した」という動機では認められません。

また、いわゆる「まとめサイト」であっても賠償命令が下された実例が存在するため、著作物の使用には十分に注意しましょう。

著作者が「著作権トラブル」を避けるために必要なこと

著作者人格権・著作権トラブルに巻き込まれるリスクを減らすために、著作者は以下の3点に気をつけましょう。

  • 著作者は自分の作品をアップロードする際に「無断使用禁止」という内容を明記する
  • 自分の作品に名前やサイトURLなどを入れておく
  • 自分の作品をアップロードする際には圧縮したものをアップする

特に、写真やイラストなどの創作物は、無断使用のリスクが高くなりがちなので、あらかじめ自分の作品を無断使用しにくい状況にしておくことで、著作権・著作者人格権の侵害を避けることができます。

自身のサイトなどで著作物を公開する場合には、「無断使用厳禁」「無断使用を発見した場合には損害賠償請求を行います」などといった記載をしておきましょう。

また、写真やイラストには、自身の名前やサイトのURLなどを入れて、著作者が一目でわかるようにしておくこともトラブル防止策として効果的です。

さらに、サイトで公開するような場合にはあえて圧縮した画像にしておき加工しにくいようにしておくと、著作権トラブル回避対策として有効です。

実例1.写真無断利用による著作権侵害

カメラマンのAさんは、自らが撮影した写真を自身が管理するサイトにアップロードし、公開していました。

しかしある日、自分が撮影・公開した写真がオンラインカラオケサービスで無断使用されていることに気づき、Aさんはプロバイダー責任制限法に基づいて、発信者情報の開示請求を行いました。

その結果、無断使用されている写真は原告であるカメラマンAさんが撮影したものであり、著作権および著作者人格権を侵害したとして損害賠償を請求し、民事裁判に発展します。

判決としては71万2,226円の損害が認められ、オンラインカラオケサービスは賠償金の支払いを命ぜられています。

争点となったポイント

この例では、著作権および著作権人格権を侵害したかどうかが争点となっています。

原告(カメラマンAさん)と被告(オンラインカラオケサービス運営者)の主張は次の通りです。

原告:無断使用された写真は自身が撮影したものであり、創作性のある著作物であるために、改変やトリミングをして利用することによって著作権と著作者人格権を侵害されたと主張。

利用料相当にあたる損害金や情報開示請求、弁護士費用、慰謝料などにかかる費用などの損害金を賠償請求しています。

被告:使用した写真は「ペンギン」と検索して表示された画像であり、自然物であるペンギンの写真は創作性が発生するとは言えないと主張。

しかも、改変の程度が著しいのであれば原告の画像と同一性はなく、また被告自身は写真のことを知らなかったため、著作権侵害について故意や過失はないのではないはず。

さらに、使用したプロフィール写真は画質が荒いために著作者人格権侵害には当たらず、著作権侵害にあたる損害は発生していないと主張しました。

裁判所の判断・判決は?

裁判所は、被告による行為は著作権侵害にあたる行為であり、著作者人格権をも侵害する行為であるとして損害賠償を支払う責任があるとしています。

責任があるとしたうえで、原告の損害額は合計71万2226円になると判断されました。

判決の要旨としては、著作物の一部を改変したといっても、写真には創作的な表現が含まれていること。

ペンギンといった自然物であっても、構図や画角、位置など独立した著作物性が認められるものであるために、複製による著作権侵害にあたることが挙げられます。

著作権と著作者人格権まとめ

今回は、著作権と著作者人格権と無断転載による著作権侵害について、実例を交えながら解説しました。

普段、私たちがSNSやサイト上で見かける写真や画像は、基本的には著作権が存在するため、無断で使用した場合には著作権侵害にあたります。

仮に、「知らなかった」「悪気がなかった」と主張しても、立派な犯罪行為にあたるので注意が必要です。

しかし、写真やイラストをはじめとした創作物を提供する著作者(クリエイター)は、作品を世に送り出す以上、どうしても著作権侵害されてしまうリスクが存在します。

そのため、無断使用禁止という内容を明記する、作品に名前やサイトURLなどを入れておく、あえて圧縮したものをアップするなど、あらかじめ対処をしておくことをおすすめします。

また、著作権侵害や著作者人格権の侵害によって困ったときには、信頼できる弁護士に相談するようにしましょう。

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