民事訴訟法とは?流れや費用をわかりやすく説明します!

個人間の法律トラブルを解決する民事訴訟

民事訴訟とは、個人で法的な紛争が生じた時、裁判官が双方の言い分を聞いたり証拠を調べたりして、判決を下すことで解決する手続きのことです。

貸金の返還、土地の所有者などの財産権に関する紛争や、人身損害に対する損害賠償などを民事訴訟で解決しようとするパターンが多く、請求金額が140万円までなら簡易裁判所で、140万円を超える場合は地方裁判所で訴える必要があります。

訴えた側を原告、訴えられた側を被告といい、民事訴訟は原則として、訴える相手である被告の住所を管轄する裁判所で起こすことになります。

また、訴訟の途中で判決が下される前に、話し合いによって解決する「和解」に落ち着くパターンも存在します。

民事訴訟は3種類に分けられる

一口に民事訴訟と言っても、訴訟の内容によって大きく3種類に分類することができます。

1.通常訴訟

個人の間の法的な紛争,おもに財産権に関する紛争の解決を求める訴訟です。

例えば,貸金の返還,不動産の明渡し,人身損害に対する損害賠償を求める訴え「通常訴訟」と呼ばれ,民事訴訟法に従って審理が行われます。

2.手形小切手訴訟

「手形小切手訴訟」は、民事訴訟法の特別規定によって審理される手形・小切手金の支払を求める訴訟です。

手形小切手訴訟を起こせるのは、手形・小切手による金銭の支払い請求と、それにともなう法定利率による損害賠償請求を行う場合となっています。

手形小切手訴訟では、判決を早期に言い渡せるようにするため、証拠は書証※当事者尋問に限られます。

なお、訴える側は通常訴訟を選択することも可能で、手形・小切手訴訟を起こしたあとに「通常訴訟に移行したい」と申し立てれば、訴えられた側の同意がなくても通常訴訟へと移行できます。

※書証とは、文書に書かれた内容を裁判官が閲覧し証拠とすること

3.少額訴訟

簡易的かつ迅速に解決することを優先し、60万円以下の金銭支払いを求める場合は「少額訴訟」を選択できます。

少額訴訟では、原則として裁判官と関係者がラウンドテーブルに着席する形式で審理が進み、基本的に1回の審理で完了します。

即時解決を目指すためにも、証拠書類や証人は審理の日にその場ですぐ調べられるものに限られます。

なお、紛争の内容が複雑な場合は少額訴訟を利用できないケースもあるので注意しましょう。

4. その他の訴訟

「通常訴訟」「手形小切手訴訟」「少額訴訟」のほか、離婚や認知の訴えなど家族関係に関する「人事訴訟」や、公権力の行使について取り消し等を求める「行政訴訟」などがあります。

人事訴訟は離婚に関する訴訟ケースが多く、子どもの親権者の確定、財産分与、養育費の算定、離婚にともなう慰謝料の請求などを行うことができます。

家庭内の紛争などの家庭に関する事件は,家族の感情的な対立が背景にあることが多いため、人事訴訟では”家族関係の紛争は基本的には話し合いで解決すべき”という判断のもと、まずは家事調停が行われます。

国や公共団体など、行政庁を相手どって訴訟を起こす行政訴訟に適用されるのは、行政事件訴訟法です。

具体的には、「営業停止処分の取り消しを求める」場合や、「原発設置許可の取り消しを求める」場合などがあります。

民事訴訟の流れを解説

1. 紛争が発生。原告が訴状を裁判所に提出

訴える側である原告が訴状を裁判所に提出すると、民事訴訟が始まります。

2. 裁判所の訴状受付、被告への訴状の送付

裁判所は、原告から提出された訴状を受け付け審理を行ったあと、被告に訴状を送付します。

3. 訴状の受領

訴えられた側である被告が、訴状を受け取ります。

4. 口頭弁論期日の指定・呼び出し

裁判所が口頭弁論の日を決定し、原告と被告に通知します。

5. 答弁書の提出・送付・受領

被告が答弁書を裁判所に提出し、裁判所は答弁書を原告へと送付。原告は答弁書を受け取ります。

6. 審理

審理では、口頭弁論が行われます。

口頭弁論では、まず訴状の内容に間違いがないかを裁判所が原告に対して確認したあと、答弁書をもとに被告の主張を聞き、証拠と照らし合わせたり証人尋問を行ったりします。

口頭弁論は、必要があれば何回も行われますが、判決を確定するのに十分な主張・立証がそろったと裁判所が判断すれば、口頭弁論は終結し判決が下されます。

また、話し合いによって解決できた場合は和解となり、判決内容に納得がいかない場合は、裁判の取り消し・変更を求める「上訴」を行うことが可能です。

民事訴訟にかかる費用相場

民事訴訟を起こす場合には、訴訟費用と弁護士費用が必要です。

裁判所手数料や訴状を郵送するための郵便切手代などが訴訟費用とされ、裁判所手数料は裁判所のホームページで公開されています。

弁護士費用は依頼する事務所によって異なりますが、おもに以下の費用が必要となります。

(1)相談料

相場としては1時間1万円程ですが、最近では相談料を無料としている法律事務所が増えてきました。

(2)着手金

着手金とは、事件着手時に発生する費用のこと。民事訴訟の結果にかかわらず返金されません。

依頼する事件によっては、着手金を無料にしている法律事務所もありますので、着手金がいくらかかるかは依頼する事件または法律事務所によって異なります。

着手金は20万円~50万円という法律事務所が多いようですが、相場としては30万円程度です。

もっとも、何について問題になっているかによって費用が異なるので、詳しくは法律事務所に確認してみると良いでしょう。

(3)報酬金(成功報酬)

報酬金とは、事件の解決時に発生する費用のこと。

仕事の結果について、例えば「回収金額の何%」というような形でかかることになります。

民事訴訟の報酬金平均額は30万円程度ですが、依頼する事件または法律事務所によって異なります。

(4)日当

日当とは、弁護士が遠方へ出張した際に生じる費用のことです。

(5)実費

実費とは、例えば、書面の作成や事件調査といった、仕事に関して生じる費用のことです。

また、弁護士が活動するにあたり発生した交通費も実費として扱われます。

民事裁判に勝訴した場合、弁護士費用は被告に請求できる?

弁護士費用は、裁判で負けた方が支払うと思っている方も多いかもしれません。

しかし、民事訴訟で弁護士費用を負担するのは、それぞれ委任した人(原告)になります。

「訴訟費用は〇〇の負担とする。」との判決が出ますが、この訴訟費用とは訴訟にかかる印紙代程度のことで、実際にかかった着手金や報酬金などの弁護士費用は、それぞれご自身で支払うことになります。

弁護士費用を負けた方に支払わせることはできないので注意しましょう。

民事裁判に備えて弁護士保険に加入しよう

弁護士保険に加入しておけば、法務トラブルが起きて弁護士費用を支払った場合、保険金を受け取ることができます。

いざというときに泣き寝入りをしないためにも、弁護士保険に加入して「もしも」のときに備えましょう。

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